結果半泣き。

朝、エプロンの前に見知らぬ袋がかかってた。手紙が入ってた。「長い間お疲れさま!」って書いてあった。一緒に鳩サブレが入ってた。それだけで少し泣いた。自分が働いてきた意味があったんだ、と実感することができたから。差出人は唯一あたしより先輩のアルバイトの人だった。そゆことも涙を誘った。

最後の日曜日は普通に過ぎていった。新人さんを教え、お昼を食べ、販売をして、接客し、電話を取り、雑誌を補充し、ふらふらして1日が終わった。(ほんとに)最後に販売用語を復唱した。ひとつひとつかみ締めて唱えた。

アルバイトだからって、レジだけできればいい、というものではない。気持ちいい接客を心がけなければいけないし、お客様が本が聞かれたらすぐに答えなければいけない。「わからない」ですまないのだ、だってエプロンをかけている以上自分は「従業員」なのだから。責任がある、信用の問題だ。

本について知ること、わかっていくことは正直楽しかった。本っていうのは純文学っていう王道から、最新の流行、参考書、家庭一般などなどあらゆるジャンルが「本」として形作られていて、アンテナを色んなところに張り巡らせなければいけない、と思った。足手まといにはなりたくなかった、早く1人前になりたかった。

下っ端の1年目。同期が一緒にあたしを除いて4人いた。みんな個性があって、あたしはコミックばっかり見ていたw
少しオトナの2年目。同級生の子とのおしゃべりは楽しかった。コツも掴んで息のぴったり合ったレジと販売はひとつの芸術でもあったと思う。
沈黙の3年目。実は一番伸びたと思う。オールマイティに知識を吸収し、フロア全体を見るようになった。脇役も大事。
孤立の4年目。「若さ」を知る。もうすっかり年長さんになっていて、同期は誰もいなくなった。

リーダーっていうバッチをつけていた。本当にリーダーというわけではなくてギャグでつけていたけれど、それでもあたしは「リーダー」として役目を果たすことはできたかな?わからないけど、最後の販売用語がすんだあと、小さな花束をくれた。それでいいじゃないか。あぁ、あたしはあの店が本当に大好きだったなぁ。


15日で最後を迎える。朝から夜まで。トータルで考え、たら単調な1日なのだろう。でもその単調な1日を大切に過ごそう。声は気持ちいいくらいに伸びて、接客は正確且つ的確に。全て終わったら、あたしはまた泣くのだろう、みんなが大好きだ。