namikaze

いつの間にか髪が伸びた。手入れがまだ楽だから、という安直な気持ちでパーマからストレートに戻した自分の髪は、下手すると秋葉原にいそうなオタクの様だ。そんな自分に気づくのと同時に自分が醜いことに気づいた。そこからというもの、洗面台に映る自分、手鏡から覗く自分、窓越しに反射する自分、四六時中の自分がすべて醜くて、変わりたいと思った。変わらなきゃって思った。

部屋の換気をする。夜のベランダからは虫の鳴き声、ひんやりする風。空間の中に、ぽつり、自分。違和感がどうしても拭えず、重症だと思う。波風を立てたくて仕方がない。こんな毎日を過ごして、私は満足なのだろうか?少しくらいの波風があった方が人生に厚みが増すのに、というしょうもない思いが湧いて湧いて止まらない。

恋人が毎日そばにいて、毎日セックスをすることが幸せだとは思えない。そんな風になるのかな、と思ったことも実はある。でもそれは退屈だ、それは自分の違和感をより増長させてしまうのではないだろうか?答えのしようのない問いが、頭の中をぐるぐるぐるぐる駆け巡っては離さない。風が、もっと、自分のために生きていてもいいんじゃないの?と言っている気がしてならないのだ。

おかしいのかな、私。でも、離れないんだよ。どうしようもないな。