誰かになりたい。誰にもなれない。

ひとりひとり、「憧れの人」っていうのがいる。知らない間にできている。強制ではなく、無意識に、惹かれるから憧れる、そういうものなんだと思う。

私にもいる。憧れの人がいる。

はじめて人に「憧れ」を抱いたのは、大学3年のときだ。4年の先輩が素晴らしくて、第二の彼女のようになりたいと思った。そしたら、先生に咎められた。「そういう考えを持ってはいけない」と。

憧れるのは、いいことだ。それを励みにがんばることができるから。でも第二の◯◯になることはいただけない。それは自分自身を殺すことにつながるからだ。だから目指すのは、憧れの部分を真似て育った第二の彼女ではなく、自分の強みを最大限に生かした「第一の自分」なんだと。真似をする必要は1mmもなく、彼女と対等になる必要があるんだと教えてくれた。

私たちは、誰かになりたくて仕方ない。
でも残念ながら、誰にもなることはできない。
なれるのは、どうしようもない自分だけ。
仮初の世界を抜けて、自分自身が憧憬になれるようにと
今日も劣等感満載の自分を言い聞かせて、いつかの言葉を思い出す。