先生は、どんな人生を歩きましたか?

お昼ご飯を済ましてから、違う人から立て続けに3件同じ内容のメールがきた。中一の頃の、担任の先生が亡くなったというメールだった。詳細は不明。とにかく「亡くなった」という事実と、お通夜と告別式の日時が記された、極めて簡素なメールだった。

14年も前のこと。クラスメイトだって朧げで、家に帰って卒業アルバムをみて、その時には転勤していたことを知った先生。でも先生は先生。私の先生。存在を強烈に覚えている。楽しかったか楽しくなかったか?って思ったら、瞬時に「楽しかった」と思えたあの時。その時の、担任の先生が亡くなった。

先生。
中一の頃の、担任の先生。
あの頃は確かまだ、30歳にもなっていなかった先生。
達筆のようで達筆でないような、すこしクセのある字を書いていた先生。
オレンジのポロシャツがとても似合っていた国語の先生。
年の割にはもうハゲが始まっていて、見るからに肥満で不健康そうだった先生。
夏はすごく汗をかいていて、がははは!という親父っぽい笑いをしていた先生。
野球部の顧問をしていた先生。
私、これくらいしか覚えてない。先生のこと。
それがすごく、淋しい。本当はもっと思い出したいのに。

私は先生と1年間しか共に時間を過ごしていませんが、私は1年5組の生徒でよかったと、改めて思っています。正直、どんな1年間を過ごしていたかはちゃんと覚えていませんが、でも、改めて、先生の顔を思い出したら、先生は笑顔でした。それにつられて私も笑っていたことでしょう。だからきっと、楽しかったんだと思います。

先生の「終わり」に、私はすこしだけ立ち会います。それはどんなに、哀しくて、幸せなことでしょう。すこししかお話できませんが、お会いできるだけでも嬉しいものですね。でも先生、14年ぶりだから私のこと、分かりますかね?ハラダですよ?野球部の兄がお世話になってました、ヒロコですよ?だから思い出してくださいね?私聞きますから

「先生は、どんな人生を歩きましたか?」
すこしでいいから、教えてください。ね。
1年5組47番 ハラダヒロコ