キミが羨ましい。

時間はときに残酷だ。

つらいことや悲しいことは、どうしたって「時間」が必要になる。そうしないとつらいことや悲しいことは忘れられないし、一生苦しむ羽目になる。でも、そうでない時がある。キミが羨ましい。それは時間が経っても、忘れたくない感情だ。

キミはまるで羽根が生えているかのように軽やかに毎日を過ごす。
私の些細な悩みなど気にもとめない。足枷にしかならないのだ。
そうやって越えていく、走ってゆく、飛んでゆく。

うすれゆく記憶のなかで、キミの笑顔はキラキラだ。
その笑顔に、私はすくなくとも救われたんだ。
それは事実、忘れてはいけない事実。

私も羽根があればいいのにと、思うところはあるけれど、でもそれはないものねだり。自分は自分でしかない。ならば負けないくらいのキラキラを、発するしかないのだろう。

忘れるな。時間が経っても忘れるな。
時間はいつだって流れている。
そのなかで「キミが羨ましい」と憧れたことを忘れるな。
またひとつ、わたしのなかで憧憬が生まれた。