そして生活は続く。

梅、桃、桜、藤、紫陽花、そして向日葵。
仕事を辞めてから「綺麗だな」と心に残った花がひとつひとつ、増えていった。
はじめに見つけた梅の花はお隣さん家の庭に咲いていたもので
身辺整理をスッキリすることができたからはじめて気がつくことができたんだろうなぁって思った。
そっから、心に花を増やしていった。

紫陽花が咲いたあたりから、途端に焦りだした。
春の花から夏の花へ、季節の移ろいを身に沁みて感じたからだ。
「私は何をしているのだろう。そろそろなんとかしなくちゃ」と。
そっからは、すこし無理をした。今まで甘えていた分だけ無理をした。

そうやって、バランスをとって。
時に真面目に、時に不真面目に。
決断と覚悟をした。
いくつかのものを切り捨てなければ、いくつかのものは手に入らないから。
いろんなものをこの目で見て、触れてみたり、考えてみたりした。
一瞬一瞬を後悔しないように。ひとつひとつを賭けてみた。
そしたらなんだか、仕事が決まった。
向日葵が咲き始めた頃だった。
梅雨は終わり、夏のはじまりを告げるとともに
私の人生の春休みも終わりを告げた。

時期にして4ヶ月半。早かったのか、遅かったのかよくわからない。
でも、自分の頭で考えてわかることは
「この4ヶ月半は【必要休暇】だったのだ」ということ。
誰かと比べる必要はないし、何かに引け目を感じることもない。
自分が自分らしくある為に必要な時間だったのだ。

夜寝たら朝が訪れるように、当たり前に時間は過ぎる。
好きなマンガを読んだり、音楽を聴いたり。
ライブではしゃいでみたり、扇風機にあたりながら昼寝をしてみたり。
スーツを久しぶりに着てみたり、すっぴんで近所をうろうろしたり。
全部が必要なことだった。それを繰り返し繰り返し。
そして生活は続く、明日からは社会人編 第2章。
また新しい「当たり前」がはじまる。